首都圏一極集中の反動やリモートワークの普及、そして自治体の企業誘致施策が重なり、新潟市では近年、ITやBPO(業務受託)、物流分野を中心に新たな雇用が生まれています。これは単なる都市開発の話ではなく、アパート投資を検討する方々にとって、入居需要の裏付けとなる重要な要素です。
その象徴的な事例が、アマゾンによる「新潟南デリバリーステーション」の開設です。2024年9月に新潟市南区で稼働を開始したこの配送拠点は、1日あたり1万~2万点の荷物を取り扱う大規模施設であり、多数の雇用を生み出しています。周辺エリアでは、シフト勤務に便利な駐車場付き1LDK~2LDK、宅配ボックスや高速インターネットを備えた新築アパートへの需要が特に高まっています。
一方、オフィスワークの分野では、通信大手KDDIと三井物産の合弁会社である「アルティウスリンク」が、新潟駅直結のプラーカ2に「新潟スタシオンセンター」を開設しました。コンタクトセンターやBPO業務を担う拠点として多くの人材を採用しており、駅近ワンルームや1LDK物件への安定的な需要を生み出しています。シフト制や研修に伴う人の入れ替わりが多く、空室が発生しても次の入居が決まりやすい点も特徴です。
また、新潟市は積極的に本社機能の移転や拡張を支援する補助制度を整備し、進出企業と地元企業・大学との交流機会を設けています。こうした取り組みは採用増につながり、ひいてはアパートの入居需要を底上げする要因となっています。
地場の大企業も健在です。米菓大手の亀田製菓(江南区)、無菌包装米飯で知られるサトウ食品(東区)、製紙の北越コーポレーション(東区)、ホームセンター大手のコメリ(南区)といった企業群は、通年で人材を採用しており、単身赴任者から家族帯まで幅広い住宅需要を支えています。特に工業団地や商業施設周辺では、ファミリー向け2LDK~3LDKや、車通勤を想定した広めの1LDK物件が堅調です。
家賃補助と借上社宅
企業の住宅支援制度は大きく「住宅手当」と「借上社宅」に分かれます。特に借上社宅は、企業名義で物件を契約し、従業員が入居する仕組みであり、滞納リスクが低く安定した賃料収入が見込める点が投資家にとって魅力です。大企業や準大手では、転勤者や新卒配属者に適用されるケースが多く、築浅やセキュリティ設備の整った物件が選ばれる傾向にあります。
エリアごとの需要傾向
投資家が意識すべきポイント
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宅配ボックスや光回線無料など、生活利便性を高める設備は必須です。
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車社会である新潟では、駐車場確保が最重要。将来を見据えたEV充電設備の導入も差別化につながります。
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法人契約に対応できる管理体制を整えることで、借上社宅需要を取り込みやすくなります。
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シフト勤務者も多いため、防音性や防犯性を高める工夫が入居満足度を向上させます。
まとめ
新潟市の賃貸市場は、物流拠点の新設やBPO企業の進出、そして地場大企業の継続的な雇用によって、堅実な需要基盤が形成されています。家賃補助や借上社宅といった企業の住宅支援制度も追い風となり、安定した入居需要が期待できます。投資家にとっては、立地と間取りを需要に合わせ、法人契約に対応できる体制を整えることで、長期的に安定した収益を見込める環境が整っていると言えるでしょう。